书目

宋金元道教内丹思想研究

内容简介

【「はじめに」より】(抜粋)本書は、中国近世期における道教の内丹思想を取り扱ったものである。本書は二部に分かれる。第Ⅰ部「宋・金・元代の内丹道および全真教における性命説」は宋から元における内丹思想、特にその中心となる性命説を全真教との関係の中で考察したもの、第Ⅱ部「神道と内丹思想」は日本の神道と中国の内丹思想の関係を考察したものである。道教では、永遠性の獲得を目的とした錬丹術が早くから行われたが、やがて唐代後期、それらの技法を全て修行者の身心の内面へと読み替えた内丹術と呼ばれる修行法が登場した。宋代以降、内丹術は隆盛していくが、北宋・金交替期の混乱の中、全真教・真大道教・太一教といういわゆる「新道教」が登場する。中でも後に消滅する真大道教・太一教と異なり、金・王重陽により開かれた全真教は、現在でも正一教と道教を二分する勢力を持ち、また教義面では、内丹術という「迷信」を廃し、革新的な教説を説いたとして重視されてきた。この「新道教」という呼称は、日本では戦前の研究者である常盤大定の『支那に於ける仏教と儒教道教』(一九三〇)、そして中国では日中戦争中の陳垣の『南宋初河北新道教考』(一九四一)にそれぞれ遡る。問題は、全真教を「新道教」とするこれらの言説の背後には、それぞれが著述された当時の日中双方の近代的視点が色濃く投影されていると考えられることである。ならば全真教を正確に理解するためには、我々を密かに縛る、こうした近代的な言説を解体する必要があるのではないか。これが本書第Ⅰ部を貫く問題意識である。そこで第Ⅰ部では、こうした問題意識の下、全真教が登場する直前の北宋から、全真教が変容・退行したとされる元までを範囲として、全真教を、それが登場してきた内丹道との関係の中に置き直すことで、実証的に検証する。第Ⅰ部が中国近世期を中心とするのに対して、第Ⅱ部では少し視点を変えて、日本の神道、特に吉田神道と内丹思想の関係について取り上げる。吉田神道は、唯一神道・元本宗源神道とも称し、神道の純粋性を目指して吉田兼倶により創唱されたものである。ところが奇妙なことに、吉田神道には仏教など様々な影響に加えて、道教的な影響も見られることが、従来、指摘されてきた。特に吉田神道には、『修真九転丹道図』が伝わり、内丹思想の影響をそこに見て取ることができる。なお最後に、資料として『修真九転丹道図』を収める天理大学附属天理図書館吉田文庫所蔵『太上老君説常清静経』の全文翻刻を付す。『修真九転丹道図』は、修行者の内景を描いたと思われる美麗な図版を多数収めるもので、既に中国では失われたと思われる貴重な文献である。

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